広告未来塾第6期 開催

(公社)東京広告協会は、「広告未来塾」第6期を5/30より開講し、8/2に全6回の講義を終了しました。眞鍋 亮平氏( ㈱電通 第5CRプランニング局長 エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター)を招き、テーマ「クリエイティビティの力で、できること。」のもと、5名のゲスト講師を招いて行われました。
講義の概要をご紹介します。

 第7期は2024年春頃より募集告知を予定しております。詳細はHPにてご案内いたします。どうぞお楽しみに!
「クリエイティビティの力で、できること。」
広告が嫌われている。

ネットやスマホの時代になり、
よりスキップされるもの、
ブロックされるものになっている。

厳しい状況の中で、嫌われていない広告もある。
それどころか、深く共感され、リスペクトされているものがある。
広くシェアされ、ファンがついているもの、
何時間でも触れ続けたいもの、
お金を出してそばに置いておきたいものまで出てきている。

その差を生み出せる大きな変数こそ、
僕らが現場で培ってきたクリエイティビティだ。

コピー、アートディレクション、PR、
テクノロジー、ブランドミッションという技を使って、
クリエイティビティがもたらす力を実証している人たちがいる。
それぞれの分野で先頭を走る5人にゲスト講師をお願いした。

「こんなことまで、できるんだ!」

講師陣と、受講生の皆さまと、
これからの広告の可能性について考えていきたい。

第1回「クリエイティビティの力で、できること。」 眞鍋 亮平氏(電通)

クリエイティビティが活かされる領域は、かつてなく拡大しています。変化の激しい時代を楽しめる人にとって、広告クリエイティブはチャンスしかないと考えています。まずは、私が入社してからどのような課題意識をもって得意な領域を増やしていったかについてお話したいと思います。 また、広告の力で「双方向の参加型コミュニケーションを実現すること」「社会現象を起こすこと」「社会課題を解決すること」などを具体例をもとにお話しします。企画力も大事ですが、実現させる力にこそクリエイティビティが発揮されるべきで、普段は不可能なことを可能にするには、多くの人の心を動かす「大義」を考えることが大切になります。

さらに、最近個人的に力を入れているテーマとして、「広告のライブコンテンツ化」のお話も。静的なパッケージとして閉じるのではなく、動的なサービスとして、ユーザーに中長期にわたって数珠つなぎに物語を提供し続けるという、新しい広告の潮流についてご紹介します。

第2回「コピーで、できること。」 山﨑 博司氏(博報堂)

コピーとは、1行の戦略です。ブランドや商品が抱える課題を解決するために、受け手をどう動かすか、明確な戦略のもとに作られています。さらに、広告のみならずサービスや事業を考えていく中でも、“コピー発想”ができることは強みになります。 コピーでは、「何を言うか(What to say)」において価値を発見し、次に「どう言うか(How to say)」において受け取り手の感情を設計します。とはいえ、今の世の中はあまねく商品が高品質になっており、非常に差別化がしづらい状況です。そこで新しい価値を見つけるために、深堀りして考え、新しい視点を探す姿勢が最も大切になります。

さらに、コピーでできることには2つあると考えています。「コピー単体でできること」と、「コピーを拡張してできること」です。この「拡張」においては、パーパスの策定やサービス開発、社会実装などをこれまで取り組んで来た事例として、お話しできればと思います。

広告ビジネスの領域は広がっていますが、企画に芯を通す、アイディアの真ん中に言葉をおけているかを常に考えながら仕事に臨んでいます。

第3回「アートディレクションで、できること。」 関戸 貴美子氏(電通)

眞鍋氏から登壇を依頼された際、“関戸さんの携わった作品は広告的な嫌われる雰囲気がない。何がそれを実現させているのか?を伝えてほしい”というお話がありました。今日はその点について役に立つ話ができればと思います。

アートディレクションに携わる際、1.自分らしさを大切にする 2.相手らしさを大切にする という2つの視点があり、私は[自分の興味×相手の課題×社会の興味関心×広告としての新しさ]が重なるポイントを探すようにしており、いち消費者としての感覚を常に持っていることが大切だと考えています。それが「広告らしさがない」と言ってもらえたことにつながっているのではないでしょうか。そして「相手らしさ」を考える時、それは本来、もとから相手に備わっているはずのもので、商品ではなくどのような“価値”を社会に対して提供しているのか、そこを深く掘り下げていくように取り組んでいます。

第4回「PRで、できること。」 嶋 浩一郎氏(博報堂/博報堂ケトル)

PRは「影響力のある第三者を巻き込んで社会に新しい概念を定着させる合意形成」の仕事です。今日の話のポイントは3つあります。1つはマーケティングは他人と違うところを見つける仕事だけれども、P Rは他人と同じところ、握れるところを見つける仕事であること。2つ目は、合意形成を目指す取り組みにおいては、シンパシー以上にエンパシーが求められるということ。ともに共感という意味だが、感情的な共感と、価値観を超えて共通ルールを作る実務能力としての共感という違いがそこにあります。3つ目はコンビニエントなモノが、愛されるとは限らないということ。「人は顕在化した欲望に応えるサービスに感謝しませんが、潜在的な欲望を発見してくれた人を愛する」という特徴があるのです。

潜在的な欲望に名前をつけたものが、「おひとりさま」などの社会記号で、メディアにが社会記号とブランドを結びつけると、ブランドにとってチャンスが拡がるという話もしていきます。

第5回「テクノロジーで、できること。」 中村 洋基氏(PARTY)

現在、デジタル関連の広告費用の多くが運用広告領域に投下されていますが、今日は「運用広告のCPA(顧客獲得単価)を超えるデジタルキャンペーンを行いたい」「ロイヤルユーザーをつくりたい」という時に、デジタルを活用してどのようなことができるかについてお話していきます。私が考えている基本的な成功の方程式は、[起爆剤の設計+シェアのしくみづくり+コンバージョン直結の動線]です。これについて、事例を用いながら説明していきます。

そして、広告にテクノロジーを活用することのメリットには3つの点があると考えています。①しくみごと作れる=ブルーオーシャンで戦える ②「実現できたらいいのに」が実現できる ③テクノロジーよりもインサイトを です。これについても説明します。

デジタルテクノロジーは日進月歩で、全くのゼロからのアイディアというのは非常に少なく、皆がほかの事例から「学び」ながら新しいものを生み出しています。その際に大切な、「抽象化」と「転用」の考え方について、お話していきます。

第6回「ブランドミッションで、できること。」 細川 美和子氏(つづく)

講義のサブタイトルを、「公共をつくる広告」としました。これからの時代に広告は「企業や商品の情報を生活者に届ける」だけではなく、「生活者の声を、企業や社会に届ける」という役割を担うことができる。そして、その声がより愛される商品やサービスを作り、ブランドをアップデートし、まだない市場や新しい常識を広げて、世界を少し豊かにすることに貢献できると考えているからです。デジタルテクノロジーやネットの力で、これまで聞こえづらかった個人の声が世の中に届くようになったのも大きいです。

そのためにも、ブランドの想いに常に立ち返って、当たり前とされていたり、常識だからと我慢していることを疑い、かといって答えを決めつけるのではなく、対話を重ねる広場として広告が役立つ。そんな思いで取り組んだ事例についてお話していきます。

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