広告未来塾第7期 開催中

(公社)東京広告協会は、「広告未来塾」第7期を7/4より開講し、現在開講期間中です。
嶋浩一郎 氏(博報堂/博報堂ケトル)を塾長に招き、テーマ「人間を知ろう、心を知ろう」のもと、10名のゲスト講師を招いています。
第3回までの講義の概要をご紹介します。
「人間を知ろう 心を知ろう」
テクノロジーやデータの活用がすすんでも、
さまざまな統合の手段が発達しても、
クリエイターの最大の武器は、
人を知っていること。

人の心を揺さぶることがコミュニケーション。

広告未来塾は
さまざまな領域で人の心を動かす達人たちから
その技を学ぶ場に。

第1回「合意形成のスイッチ」 嶋 浩一郎氏氏(博報堂/博報堂ケトル)

PRは「影響力のある第三者を巻き込んで社会に新しい概念を定着させる合意形成」の仕事です。今日の話のポイントは5つあります。

1つ目は、マーケティングは他人と違うところを見つける仕事だけれども、PRは他人と同じところ、握れるところを見つける仕事であること。

2つ目は、合意形成を目指す取り組みにおいては、シンパシー以上にエンパシーが求められるということ。ともに共感という意味だが、感情的な共感と、価値観を超えて共通ルールを作る実務能力としての共感という違いがそこにあります。

3つ目は、人の欲望に敏感になるということ。広告の企画で「インサイト」という言葉は非常に頻繁に使われますが、そのインサイトは本当に正しく捉えられたものでしょうか? 人は自分の欲望に自覚的でなく、そう簡単に言語化できないものです。

4つ目はコンビニエントなモノが、愛されるとは限らないということ。「人は顕在化した欲望に応えるサービスに感謝しないが、潜在的な欲望を発見してくれた人を愛する」という特徴があるのです。

5つ目は、欲望に名前をつける、現象が見立てられる人になろうということです。潜在的な欲望に名前をつけたものが、「おひとりさま」などの社会記号で、メディアが社会記号とブランドを結びつけると、ブランドにとってチャンスが拡がるという話もしていきます。

第2回「料理のスイッチ」 鳥羽 周作氏(sio)

「人に好かれる仕事術」というテーマでお話します。ビジネスの場でプレゼンテーションしてそれが通るかどうかは、いうなれば「クライアントにモテたか?」とも言い換えられそうですし、飲食店の領域でも、来店してくれたお客様がイイなと思ってくれるかどうかが何よりも大切です。

それを、どのようにロジカルな思考のステップに分解し、実践し、再現性を持たせられるかを、講義を聞いた皆さんが実践できるような形でお話していきたいと思います。

1つ目は、誰に好かれたいのかを決めること。これが非常に重要です。なんとなく全方位に好かれようとしてしまっていませんか?不特定多数にモテるのではなく、誰にモテたいかを明確にすること。

2つ目は、好かれたい人について知ること。どんなものが好みか?どんなことを考えているか?をよく観察して情報を得ること。

3つ目は相手を知ったうえでアプローチの仕方を決めること。観察して得た情報をもとに、どうすれば相手が喜んでくれるか、予想を立てること。そして4つ目が実践すること、です。さらに、僕は自分がプレゼンすることも多いですが、プレゼンを受けることも多い立場です。その日々の経験から、「相手に対して想像力と愛情を持つこと」の大切さをお伝えしたい。面白い企画を考えることが目的なのではなく、相手を幸せにするための方法としてのクリエイティブや企画であるべき、ということをお話できればと思います。

第3回「戦略のスイッチ」 中川 悠氏(博報堂)

「戦略」というテーマですが、いわゆる広告の戦略というよりは、広義のマーケティング戦略として、プロダクトや、事業領域も含めたお話をしたいと思います。

キーワードは「OODA〈Observe(観察)、Orient(状況判断)、Decide(意思決定)、Act(行動)〉」です。「PDCA」サイクルはよく知られていますが、OODAは変化の速い環境に適応しやすい意思決定のプロセスとして提唱され、近年で最大の変化をもたらしたと思っています。それぞれについて事例をあげながら、また特に「観察」のプロセスが非常に重要で、ツールなども挙げながら詳しくお話していきます。

その中で、従来からの「戦略」や「戦術」という概念に、「作戦」という概念が加わり、これらはすべて、不確実性が高い市場でビジネスを成功させるための進化だと思っています。さらに、人の行動を「体験」として設計する際に非常に重要な、「触媒」の設計について、具体例をもとにお話ししていきます。

広告を企画するとき、目の前のモノのことだけを考え続けるのではなく、一度視座を高く持って「このプロダクトが世の中をどうよくするのか?どう幸せにできるのか?」までをイメージして情報収集して、そこからまたおりてきて具体的なアクションを考える、そういう心構えがとても大切だと実感しています。戦略という左脳的な話と、人の心をとらえるアートの話、その両方について参考になればと思います。

PageTop