dentsu Japanの並河進氏を塾長に迎え、テーマ「AI時代のクリエイティビティ~変わらないこと、変わること~」のもと、全6講義を実施しました。
講義の概要をご紹介します。

第1回「AI時代のコピーライティング」 梅田 悟司 氏(コピーライター)

生成AIは、広告やクリエイティブのことを理解している「実務家」である私たちが使ってこそ価値を発揮するツールだと考えています。生成AIを使いこなすために従来はプログラマーがプログラムを書いていたのが、自然言語でのプログラムである「プロンプト」として日本語で指示を書けるようになった。ならば、それをコピーライターがやれば大きな強みを発揮できるのではないか?という考えです。
プロンプトを何となく打ち込むのではなく、マーケティング段階、クリエイティブ表現を考える段階と、フェーズをわけることで精度が上がります。さらに、「フォアキャスト」と「バックキャスト」という2つの手法についてお話します。
生成AIの登場で、変われないクリエイターは淘汰されるのではないかという危機感を持っていますが、一方で実務家が生成AIを活用できれば、今まで以上に飛躍できるとも考えています。この講義で、実務家ならではの生成AI人材になるヒントをつかんでもらえればと思います。
第2回「AI時代のムービープランニング」 木之村 美穂 氏(STUDIO D.O.G)

私は、LAを拠点に映像プロダクションの代表を務めながら、ディレクターとして広告を制作してきました。そして現在、AIフィルムメーカーとして活動しています。AI技術は私たちの未来を大きく変えつつありますが、世界的最先端のイベントやコンペに参加して得た知見や、AIを映像プランニングに生かす方法や制作工程についてお話していきます。
AIで画像や動画を作る際、"なんとなく"作っていって後で何となくまとめよう…みたいなやり方になっている方が多いと思うのですが、それだとやはりいいものを作るのは難しいというのが実感です。コンセプトを立て、ストーリーボードを作り、カメラアングル、レンズ、ライティング、素材のテクスチャーなどを精緻に入力する…そういった私が行っているやり方について、具体例を用いながらご説明します。
第3回「AI時代のエクスペリエンス」 田中 直基 氏(Dentsu Lab)

AI時代になり、「作ること」自体は誰でも簡単にできるようになっています。だからこそ、「何を作るのか」「なぜ作るのか」という問いがより重要になってくる。体験や物語をどう作るかという観点でのクリエイティビティがますます大事になるんじゃないかと思っています。
AIやロボットはあくまで手段であって、目的は人の心を動かすこと。その意味で、コピーライティングや映像制作と同じように「物語を作る」ということが本質にあります。
AIを使って膨大な可能性が開けた世界の中で、自分なりに意味を見出して選び取れる力。これがクリエイティブにおいてますます重要になっていくと思います。また、AIとクリエイターの関係は「競争」ではなく「協働」だと考えています。AIが苦手なこともあるし、人間にしかできないこともある。逆にAIが得意な部分を任せることで、人間はより本質的なクリエイティブに集中できるようになる。その関係をどう築くかがこれからの大事なテーマになるはずです。
第4回「AI時代の戦略プランニング」 太田 郁子 氏(Accenture Song)

これからのマーケティングと戦略設計はどう変わっていくのか。AIがわずか数分で市場分析・ペルソナ設計・コンセプト立案までこなす時代に、「人間の戦略プランナーは何をするのか?」という根源的な問いを考え続けています。
マーケターは戦略を「考える人」から、「AIと協働する仕組みを設計する人」へ─仕事の定義そのものが変わりつつあるかもしれない今のリアルな悩みと希望を率直に語ります。
一方で、AIによる効率化が進むほど人間の「独自性」「編集力」「責任を取る力」がより重要になるとも考えています。たとえAIが考えた戦略であっても、事業を推進するのは人間であって、どこに価値を感じて・どう体重を乗せて事業を推進していくのか。そして、生活者自身がAIを持つ時代に、ブランドはどうすれば心を動かせるのか。戦略・クリエイティブ・AIが交差する最前線をお話していきます。
第5回「AI時代のクリエイティブディレクション」 細田 高広 氏(TBWA HAKUHODO)

AIが進化するなかでクリエイティブディレクションの本質はどこにあるのかを探ります。AIの進化がものすごいスピードで進む今、多くの人が不安や脅威を感じているかもしれません。でも私は、AIを「補助線」として使うことで、むしろ人間の発想の本質がより鮮明になると考えています。
AIは平均的・真正面からの答えを出すのは得意ですが、横からツッコミを入れるような思考は苦手です。人間だけが持つ「問いを疑う力」や「常識をずらす発想」こそが、これからのクリエイティブに不可欠です。つまり、創造性とは前提を"疑う力"であり、私たちは「課題解決」よりも「可能性開放」のディレクションを担うべきだと考えています。
常識を疑い、新しい価値を見つけるプロセスとして、「3D思考」についてお話します。Doubt(疑う)→Discover(気づく)→Design(形にする)。この講義を通じて、皆さんが自分の中の"疑う力"を養い、クリエイティブの楽しさを発見してもらえたら嬉しいです。
第6回「AI時代のクリエイティビティ(総論)」 並河 進 氏(dentsu Japan)

第6回は、これまで各ゲスト講師から出された事後課題それぞれについて、受講生同士がグループに分かれて課題に対してどのようにAIツールを使ったかなどを意見交換した上で、並河塾長からのフィードバックをいただきました。
