法政委員コラム

広告表現に関する取り組みについて

株式会社ADKホールディングス
法務・コンプライアンス本部 本部長
乗本 乃輔

当社には表現リスクコンサルティンググループ(以下「表現リスコン」)という部署があり、広告表現のチェックを行っております。表現リスコンには、法務部門での経験者の他、営業やクリエイティブといった業務の経験者も所属しており、法的な見地にとどまらず、より幅広い視点で広告表現を検討すべく日々取り組んでおります。

併せて、表現リスコンでは、広告表現に係る社内向けの啓蒙活動を行い、この活動においては、実際に発生した炎上事案を他人事としないように、表現リスコンのメンバーで意見交換、分析し、社内に発信しておりますが、社員の広告表現に関するリテラシーを向上させ、事前に問題が生じるのを回避するためにも重要な施策と捉えております。なお、社内でのアンケート結果では、社内で実施されている様々な研修プログラムの中でも、広告表現に関する研修はとても関心度が高く、地道ながら、このような活動を継続していく必要性を感じております。

表現のチェックに取り組むに際しては、知見と経験が必要であり、社内に、そのような素養を持った人材を継続的に育成していくことは課題と感じております。また、人材育成の取り組みに加え、近頃、AIを活用した炎上リスクを事前にチェックするツールもでてきており、当社としても、今後、このようなツールを適宜活用し、業務の効率化・補強を図っていきたいと考えております。

昨今、表現に関しより厳しい目で見られるようになったと認識しており、そのような社会の変化を捉えて表現を検討することが大切になりますが、その対応の難しさを日々感じております。広告表現の検討においては、関連法規だけではなく、表現が視聴者の方々にどのように受け止められるかという視点が不可欠で、その受け止め方は様々であるため、表現の検討において、非常に難しさを感じるところでございます。この点、異なる立場から多種多様な意見が揃うと色々な気づきを持つことができるため、表現の検討の際に、「多様性」を確保することが重要なポイントになると考えております。

また、特に最近は、クライアント様におかれましても表現リスクへの意識の高まりを感じております。このような状況において、表現リスコンが社内にある程度周知され、駆け込み先の役割を果たしていると思いますが、表現リスコンの存在を社内に更に認識してもらえるよう、社内周知を図ることも取り組むべき課題と捉えております。

法務政策委員会での、昨年来の広告モラル、Well-beingに関する勉強会は有意義で、人権やジェンダーに係る視点等についても、とても勉強になっております。引き続きご指導の程よろしくお願い致します。

PageTop