活動レポート

【第1回 特別講演会】
「eスポーツ」をテーマに開催

「eスポーツの世界における隆盛と日本の現状」

令和元年度第1回特別講演会を6月12日、日比谷コンベンションホールで開催した。『eスポーツの世界における隆盛と日本の現状』を演題に、2部構成で2人の講師を招いた。会員社・一般から約200名が参加した。
第1部は「eスポーツの世界における隆盛と日本の現状」と題して、浜村弘一氏((一社)日本eスポーツ連合副会長、カドカワ㈱デジタルエンタテインメント担当シニアアドバイザー)が登壇。
第2部は「eスポーツをマスメディア視点で考えてみたら面白さが見えてきた」をテーマに、平山大吾氏(㈱テレビ東京 制作局CP制作チームプロデューサー)が登壇した。

第1部「eスポーツの世界における隆盛と日本の現状」

第1部で浜村氏は、JeSU(一般社団法人 日本eスポーツ連合)が2018年に発足した背景や活動および、今後の国内のeスポーツ市場の展望と世界の現状を解説した。

第一部講師の浜村弘一氏
第一部講師の浜村弘一氏

2017年に6.55億ドルだった世界のeスポーツ市場は、2022年までに17.90億ドルに達する予測で、常連のファンとしてアジア太平洋地域が57%を占めており、アジア地域が世界的人気をけん引している。

国内市場規模は2017年時点で5億円未満だったが、2018年以降大手企業スポンサードの獲得、これまで世界に比較して非常に小さかった賞金額および総額が拡大、関連するテレビ番組の増加、加えて地方創生にeスポーツを掛け合わせた自治体の取組の増加など、多方面にわたり急速に拡大している。

講演風景:eスポーツの都道府県ごとの展開

そして市場拡大のためには、“プロ野球”の構造と同様に、ノンゲームプレイヤー(ゲーム観戦者)のすそ野が広がることが重要。それによってeスポーツはゲームタイトルの販売による収益から、興業による収益へとステージが上がり、関連市場を巻き込んで拡大していく。
連合として、eスポーツ市場の健全な発展をサポートしていきたいと語った。

講演風景:eスポーツのエコシステム

第2部「eスポーツをマスメディア視点で考えてみたら面白さが見えてきた」

第2部で平山氏は、「有吉ぃぃeeeee!そうだ!今からお前んチでゲームしない?」の企画立案から、実際に番組を運営していく中での発見や今後の展望を語った。

第二部で講演をしていただいた平山大吾氏
第二部講師の平山大吾氏

国内のゲーム人口は約4922万人と言われているが、eスポーツ人口はまだ数百万人で、これを増やすことができれば世の中が注目するのではないか。また、子供の頃に兄弟や友達と一緒にゲームをしていたように、eスポーツの醍醐味は、オンライン対戦を通じ共有できる「共体験」で、この魅力を生かした従来にない企画と考え、「出演者が本気で挑む。オンラインで世界と対戦する。友達の家でやる。そして共体験…皆が一つになる快感を味わえる番組」というコンセプトが固まった。

番組のスタート後は、OAではカットされた対戦や、ゲーム画面をほぼノーカットでYouTubeにアップロード。対戦相手が著名なユーチューバーの場合は、先方も対戦の模様を自らの実況を交えアップすることもあり、片方を見た人がもう一つを見る…という視聴者が自由に・双方向に番組コンテンツを楽しむあり方が、従来にはない”新しさ”だと感じた。さらに、対戦相手が小学生のお子さんだったことが後にわかったり、SNSを通じて若い視聴者から応援が来たりと、TVではアプローチが難しかった層が楽しんでくれている。その今までにないチャンネルでのつながりが非常に魅力的で、大きな可能性を感じている。

現在は一般の人でもゲームが作れるプログラミングソフトも非常に充実しており、若い人材が多数コンテストで入賞している。こういったテーマでも今後番組作りをしていきたいと語った。

講演を終えた浜村氏と平山氏
講演を終えた浜村氏と平山氏