広告未来塾第7期 終了

(公社)東京広告協会は、「広告未来塾」第7期を7/4より開講し、11/27に全講義を終了しました。
嶋浩一郎氏(博報堂/博報堂ケトル)を塾長に招き、テーマ「人間を知ろう、心を知ろう」のもと、10名のゲスト講師を招きました。
第4回から第11回までの講義の概要をご紹介します。
「人間を知ろう 心を知ろう」
テクノロジーやデータの活用がすすんでも、
さまざまな統合の手段が発達しても、
クリエイターの最大の武器は、
人を知っていること。

人の心を揺さぶることがコミュニケーション。

広告未来塾は
さまざまな領域で人の心を動かす達人たちから
その技を学ぶ場に。

第4回「デザインのスイッチ」 小杉 幸一氏(onehappy)

デザインとアートディレクションの領域についてお話します。

僕は、デザインも「人と人」が1対1で対話する、ビジュアルコミュニケーションツールであり、目に映るすべての要素にメッセージが込められていると思っています。デザインは広告制作のフローの中でも専門性が高くてよくわからないと思われる方も多いと思いますが、現代のビジュアル重視のコミュニケーション環境において、共通言語として理解してもらえたら嬉しいです。

キーワードは、「人格のデザイン」です。コミュニケーション人格として、受け手との間に関係性ができていないと伝わらない。商品やサービスの人格を伝えるために色やフォント、写真などの要素を構築していく、具体例についてお話していきます。

その時に大切なのが、「無意識編集者を意識してデザインする」ことです。皆さんも、あのブランドってこんな感じだよね?という印象を無意識のうちに持っていると思いますが、それが人の頭の中で日々更新・編集されています。それに対して整合性のとれていないコミュニケーションをしてしまうと受け手が混乱する。その考え方と、その点を意識して取り組んだ事例についてお話したいと思います。

第5回「コピーのスイッチ」 細川美和子氏(つづく)

24時間いつでもどこでも世界中からニュースやつぶやきが届く今、情報の洪水にさらされる中でどうやったら広告は人々に興味関心を持ってもらえるのか?そして一瞬で消費されるのではなく、長く愛されるブランドをどうやったら作れるのか?一方的に「伝える」のではなく、「伝わる」ためにはどうしたらいいのか?広告に携わる人に共通の悩みだと思います。

そして、これからの時代に広告は「企業や商品の情報を生活者に届ける」だけではなく、「生活者の声を、企業や社会に届ける」という役割を担うことができるのではないか、その声がより愛される商品やサービスを作り、ブランドをアップデートし、まだない市場や新しい常識を広げて、世界を豊かにすることに貢献できるのではないかと思っています。

日々の試行錯誤の中から鍵となる視点を抽出したら3つのポイントが見えてきました。これについて、事例をあげながらお話したいと思います。

第6回「CMのスイッチ」 澤本嘉光氏(dentsu Japan)

「全てのものに理由はある」。これが、今日の結論です。この意味についてお話していきます。また、一つ改めてお伝えしたいのが、広告は面倒くさくて邪魔なものであると、昔からそう教わっていて、この前提を忘れちゃいけないということです。その中で、いかに興味を持ってもらえるか。テクノロジーが進化して、接触率などの数値も取れるようになってきましたが、接すれば見てくれるというものではない。正しい戦略を立てたとしても、それが面白くなければ見たくないものは見てくれない。ではどうすれば話を聞いてもらえるか。

ポイントは、人の気持ちに波風を立てる、ゴツゴツとした手触りを感じられる引っ掛かりをつくること。この引っ掛かりとは、ちょっとした違和感とも言い換えられるかもしれません。もし受け手の頭に残るとしたら、そこには必ず理由があります。その理由は何かを常に考える癖をつけてほしいと思います。引っ掛かりのある広告を事例に上げながら、考えていきたいと思います。

第7回「動画のスイッチ」 明石ガクト氏(ワンメディア)

10年前に会社を立ち上げて、以来「動画」領域に特化してビジネスを行ってきました。YOUTUBE、INSTAGRAM、TIKTOK…ますますプラットフォームが増えている中で、CMとは違う動画広告ならではの特徴があります。

キーワードは、「界隈の拡張」です。いわゆる広告クリエイティブの完成度ではなく、界隈が拡張した時に起こるムーブメントを生むこと、こっちが重要で、それを作らないとなかなかいい結果には結びつかない。

考え方として、あらゆるSNSは"パーティー会場"であると捉えてみるとわかりやすいと思います。ユーザー・視聴者がパーティーしているところに、「自社製品を購入してください!」と土足で入ってくるブランドを好きになるでしょうか。そうではなく、パーティーの流れに乗る・盛り上げるような形のクリエイティブを届けることで、それに対するコメントや反応が生まれていって、広がっていく。従来の広告とは少し異なる考え方が求められる動画領域について、お話していきます。

第8回「番組のスイッチ」工藤理沙氏(テレビ東京)

自分がこれまで携わってきた番組作りの領域で、人の心にどう届けるか、について考えていきたいと思います。「テレビは下世話な玉手箱」という言葉をある方から聞いて、それがすごく心に残っています。人の心の中にある興味関心を、いかにつかむか。そして、マスではなく、「1対1」でメッセージを届けること。これはわかるはず、わからないはず、というジャッジをできるだけせず、受け取り方をコントロールしようとしないこと。そういった思いで携わってきた番組作りについてお話します。

そして、若いときに全く通らなかった企画が、どのように行動を改善していったことで通るようになったのか、立てた企画がコンプライアンスなどの観点からどんどん角が取れてしまいそうなときに、実際には言われていないのに自ら「幻の忖度」をしてしまっていないか、など、やりたいことを実現するためにどう行動しているのかについても、私の考えをお伝えできればと思います。

第9回「編集のスイッチ」 今尾朝子氏(光文社)

雑誌を起点とした領域でこれまで編集長として携わってきて、どのように読者の心に届く紙面を作ろうとしてきたかについてお話したいと思います。SNS等が大きく発達し多チャンネル化が進んでいる中で、編集者はマルチプロデューサーのようになっていますが、一定の層をターゲットにしているので、雑誌発のターゲットメディアと名乗ることが増えてきました。読者(ファン)との絆を育んで、あらゆるチャンネルでそのエンゲージメントの高さを武器にするというイメージです。

最も大切にしているのは、対話と共感によってどれだけ読者との絆が作れているか、という視点です。「なんで私の気持ちわかったんだろう?」「私が言いたかったことが書いてある!」隠れた、言えなかった悩みを顕在化させる。読者の心を揺さぶる紙面づくりの繰り返しが信頼関係を築くことになると思っています。こういった視点で、携わってきた事例をお話ししたいと思います。

第10回「事業のスイッチ」 宮永充晃氏(博報堂)

「事業のスイッチ」というタイトルですが、工場や拠点を持ち生産活動を行う、その責任をすべて負っているのはクライアント企業です。広告に携わる僕の立場からできることを考えて行動してきたことをお話します。

強いブランドとは何か。僕は、そのブランドを支える体制づくりに加えて、従業員皆がそのブランドの価値や存在意義を理解し説明できる状態になっている、社内の隅々まで意思が浸透している状態になっていること、だと考えています。それが「実装できている状態」だと思います。そして、そのブランドが社会に対してどのような価値を提供するのかをファクトをベースに、社会との接点が明確に持てていること。ここまでできて初めて、人々の興味をひいたり、メディアで取り上げられたりといったことが起こると思います。

これらについて、今回はドン・キホーテさんの事例をもとにお話ししていきたいと思います。

第11回「イタズラのスイッチ」 小山薫堂氏(放送作家)

第11回は嶋塾長との対談形式で実施しました。

―企画を立てるときに大切にしていること。
ひとりの人を喜ばせることができないのに、何万人という人を喜ばせることはできない。小山さんの会社で、全社員が真剣に取り組んでいるサプライズ企画とは。

―一流の微差。自分の仕事を世に出るまで疑い続けること。
自分の仕事を世に出る直前まで疑い続け、突き詰めていくことでクリエイティブの差がでてくる。その、ほんの微差の積み重ねがやがては大きな差になり、一流とそうでないかを分けていく。

―ハッピーな仕事を目指して。その仕事に、どれか一つでもあてはまるものがあるか。
「その企画は新しいか、その企画は自分にとって楽しいか、その企画は誰かを幸せにするのか。」3つ全部あてはまらなくても、どれか1つだけでも当てはまっていれば、価値がある仕事。

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